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開業までの道のり 9ページ目

クリニックの建築施工編 その1

1.土地購入、クリニック建築のケースの場合

この場合の建築施工とお金の流れは次のようになります。

土地 建築施工 お金
宅地へ農地転用完了
土地賃貸借契約
地鎮祭 地鎮祭 4~5万
月額支払地代発生
着工 建築契約金又は出来高払い
手形借入実行
上棟 建築中間金又は出来高払い
手形借入実行
竣工検査
土地購入
所有権移転登記
完成引渡 土地購入代金建築残金又は出来高払い
土地登記費用
手形借入実行
抵当権設定 所有権登記
抵当権設定
証書借入(長期)実行
手形借入返済
建物登記費用
抵当権設定費用

(1)土地

開院予定地が農地である場合には、宅地へ変更するために農地転用許可を受けることになります。この手続きは地主の方が市町村の農業委員会へ申請します。農地転用許可が降りてから建築着工の運びとなります。このケースの場合は建築完成までの間は土地を賃貸借とし完成引渡しの時に土地購入を想定しています。その後土地の所有権移転登記と金融機関の証書借入(長期)の実行と抵当権設定登記を同時に実行します。建物の登記も同時並行して行われます。

(2)クリニックの建築施工

1.地鎮祭

通常神主さんに建築が無事に終了するように祈祷して頂くいわゆる"くわいれ"の儀式が行われます。立会人は施主、設計士、建築業者、施主の親族等が参加されます。
所要時間は45分程度であり費用は果物、謝礼等を含んで4~5万程度であり、テント儀式用具など一切が建築業者により準備されます。ちなみにこの費用は税務上建物の取得価格に含むことになっています。

2.着工

地鎮祭が終わると着工の運びとなります。建築図面にそって基礎工事から進められてゆきます。建築工事費はこの着工段階で契約により第1回目の支払いが実行されます。なお、この資金は手形借入により調達されることになります。

3.上棟

いわゆる棟上げ式ですが柱が立った状態を上棟と呼び場所によっては"上棟式"を祝うところも見かけます。この上棟時に第2回目の建築中間金を支払う慣行がありますが最近では工事の安全性を考慮し工事の進行度合いである出来高払いが多いように思います。
尚、着工後図面も微調整(仕様変更等)の可能性が有り、設計士、施主建築業者間で変更の有無を確認し建築請負金額に影響があるかどうかを必ずチェックする必要があります。従って施主である医師の先生も時々現場に出向き状況を確認する必要があります。任せきりで後に後悔しないようにしたいものです。

4.竣工検査

建築がほぼ完成の段階で、保健所、消防署等の現場検査が実施されます。当然のことですが、この竣工検査にパスすることが絶対条件となります。

5.完成引渡し

外構工事、フェンス工事等も含め建物全体が完成すると、建築業者、施主、設計士の間で建物の引渡しが行われます。この引渡しが済むまでは建物等は建築業者の所有物であり、この立会いの席では、この施設のままでオープンして良いかどうかという観点から細部のチェックを行いますので場合によっては追加工事が発生する可能性があります。
この場合には、見積書、追加工事契約書により実施されます。これらが全て終了すると鍵の引渡しと完了引渡証が交付されることになります。そして、工事代金の最終残金の支払いをして建築施工は終了となります。尚、契約により施工管理料が設計士に支払われます。

6.建物所有権登記、抵当権設定

完成引渡証を添えて建物の保存・表示登記を行います。この所有権登記と同時に融資銀行はこれまでの手形貸付金を回収するため長期の証書貸付を実行します。この時融資額の抵当権設定を合わせて実施します。尚、長期借入金は元金返済を据置くことができ通常6ヶ月から1年を目安に承諾してもらうことが可能となっています。この間は利息のみを支払うため資金繰りに余裕ができます。この後は、医療機器等の搬入が開始されます。



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