開業までの道のり

開業形態の選択のポイント その1

開業形態はどのタイプが優れているというものではなく、診療内容や自己資金の状況等を考慮して決めることが大切です。

開業形態

立地特性や地域特性をよく分析して、まず開業のタイプを決定する必要があります。

開業形態
  • (1)戸建て
  • (2)借地医院
  • (3)医院建て貸し
  • (4)医療ビル(ビルテナント)
  • (5)メディカルビレッジ

開業形態から自分に最適なものを選んで計画を進めます。実際には理想とする開業形態で資金計画を作成しみて、自己資金とのバランスから実現可能((1)~(5))なタイプを判断します。

開業形態の特長と留意点

(1)戸建て
  • 大都市部(東京、大阪)では、土地購入費だけで億単位の資金が必要となってしまい、土地を購入しての開業は採算的に無理があります。
  • 郊外型のベッドタウンでは、大都市部ほど地価も高くないので、土地から購入しても十分に採算に合い、戸建てとすることも可能となります。
  • 住居併用医院は、店舗のみよりも融資面で有利となり、借入期間も長期とすることができます。
(2)借地医院
  • 他人の土地を賃借し、その土地に建物を建築する場合、借地契約書(土地賃貸借契約書)を取り交わすことになります。平成4年8月から新借地借家法が施行され、貸主の権利がやや強化されるなどの契約関係が当事者間で明確になったため、新規借地の需要・供給が増加しています。
  • (定期借地権)定期借地権制度とは、契約上定められた期間が満了すると、借地契約の更新や建物の築造による契約延長を行わないもの。借地借家法では、定期借地権を次の3種類に定める(表1)。

(表1)定期借地権の種類と要件

借地権の種類 一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用定期借地権
借地権の存続期間 50年以上 30年以上 10年以上20年以下
契約の更新
期間の延長
更新なし
期間の延長なし
更新なし
期間の延長なし
更新なし
期間の延長なし
借地の目的
建物の用途
建物所有
建物の用途の限定なし
建物所有
建物の用途の限定なし
事業用建物所有
建物用途は居住者用以外のものに限定
期間満了時の建物の扱い 建物の買取請求はできない
更地にして返還
建物を相当の対価で借地権設定者に譲渡
建物付で返還
建物の買取請求はできない
更地にして返還
その他 契約当事者双方の合意により再度契約を結ぶことはできる 借地権消滅後、建物使用者の求めにより期間の定めのない借家関係となることも可 契約当事者双方の合意により再度契約を結ぶことはできる
  • 定期借地権を利用の場合は、通常、普通借地と比較して権利金、敷金等が低く設定されます。ただし、期間満了で、建物が残っていても土地を返還することとなります。
  • 契約期間が限定(10年~30年)されていることから、子供や後継者が居ない医師向きともいえます。
  • 投下資本は土地購入に比べると割安となります。

(3)医院建て貸し、(4)医療ビル(ビルテナント)、(5)メディカルビレッジにつきましては、次回にご紹介いたします。


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